試算表や損益計算書・貸借対照表の計算問題で、貸方・借方が一致しないときってよくありますよね。どこが間違っているか、30分かけても見つからないなんてことも最初のうちはよくあることです。
逆に一発で貸借が一致したときの快感ったらないですよね。
貸借が一致しない理由はさまざまですが、不一致差額からある程度原因を推測することができます。本記事ではミスの原因別に不一致差額がどうなるのか説明します。
目次
貸借が一致しないときの『原因別対処法』
①集計が抜けている
貸方は全部集計できたけど、借方は数字を1つ集計忘れ(電卓に入力忘れ)してしまったとき。貸借の数字はどうなるでしょうか?
貸方と借方の差額がそのまま集計忘れした数字になっているはずです。
例えば貸借差額が1,000だった場合、金額が1,000の仕訳を集計ミスしている可能性が高いので、そのような仕訳がないかチェックしましょう。
②数字の桁が入れ替わっている
32,192 を 32,912 のように百の位と十の位の数字を入れ替えて計算してしまったとき。貸借の数字はどうなるでしょうか?
貸方と借方の差額が9で割り切れる数値となっているはずです。
実際計算してみましょう。
32,912 - 32,192 = 720
720 ÷ 9 = 80
割り切れますね!
なぜ割り切れるのでしょうか?
3桁の数字 abc があったとします。これをAとすると
A=100×a+10×b+c
と表せます。
百の位と十の位を入れ替えた数字 bac を B とすると
B=100×b+10×a+c
と表せます。
B と A の差は、
B - A = 100 × (b-a) + 10 × (a-b)
=90 × (b-a)
となり、90の倍数となるので、9で割り切れるのです。
百の位と一の位を入れ違えた場合は、同様に99の倍数となり9で割り切れます。
ところで、99の倍数は必ず十の位が9になるという性質があります。
この性質を利用すれば、数字の入れ替わりの場合、貸借の差額を見れば、下表のとおりどの桁が入れ替わっているか推測できます。
③仕訳の貸借が逆
仕訳の貸方と借方を逆にしてしまったとき。貸借の差額はどうなるでしょうか。
この場合は一概には言えないのですが、
貸方と借方の差額が、間違った仕訳の金額の2倍になることがあります。
例えば、本来、貸方に200足すべきところが足されずに、借方に200足されているというような場合は、200の2倍の400が差額に現れます。
なので、貸借の差額÷2の金額を使った仕訳がないかチェックし貸借間違っていないかチェックしましょう。
私の経験上から言えることですが、
①の集計抜けは、残高試算表などあまり慣れてない段階でよく発生するミスと思います。
②の数字の入れ替えは、2級の問題(連結会計など)で、金額の桁数が大きくなったり、計算量が多くなってくると発生しやすくなります。
③の仕訳の貸借が逆というケースは、P/L、B/Sの貸借が合わないときによく発生することが多いです。
参考になれば幸いです。
計算ミスを防ぐには
計算ミスを防ぐには、計算問題をたくさん解くことが一番の近道ですが、問題と解くときに以下の点に注意すると早くミス防止できると思います。
自分のクセを把握する
間違い探しをしていく上で自分のクセ・弱点がわかると思います。
例えば
- 字が汚くて、数字の見間違いが多い→ 字をきれいに書く、数字の桁を揃えて書く練習
- 電卓の数字の打ち間違いが多い→ゆっくり打つ、ブラインドタッチの練習
などです。
弱点がわかれば、それを克服する方法もおのずと見えてきます。
練習では執念深く原因を探す
貸借が一致しなかった場合、普段の勉強ではすぐ答えを見るのはやめましょう。30分かけても1時間かけても執念深く原因を探しましょう。
間違い探しが速くなりますし、ミスも減ります。
ただし、試験本番では別です。貸借が合わなくてその原因探しに時間がかかる場合は潔く諦めることも必要です。
しかし、練習では可能な限り自分の力で間違い探しをしましょう。